ベンガラ染め

【ベンガラのこと】

ベンガラは土から取れる成分(酸化鉄)で紅殻、弁柄とも呼ばれ語源はインドのベンガル地方より伝来したことからそう呼ばれています。
日本の暮らしに古くから根付いている素材で陶器や漆器、また防虫、防腐の機能性から家屋のベンガラ塗りとして使用されてきました。
ラスコーやアルタミラの洞窟壁画にもみられ、旧石器時代から使われた最古の顔料であり古代色です。
経年変化に強く、日光による褪色がないことも特徴で昨今では無害であることから天然素材として見直され繊維製品への染色、オーガニック製品にも使用されるようになりました。地球上に一番多く存在する「赤色」は酸化鉄といわれています。
人類にとって身近な色であり、土から取れた古代色「ベンガラ」は大地の色であり日本の暮らしを彩る色なのです。

【ベンガラ染めのこと】

ベンガラ染めは土から採取される成分であるベンガラ(酸化鉄)でできている土に帰る顔料を使用した染色方法です。
少量の水で染めることができ、火を使わず、煮炊きを必要としないので省エネルギーな染色です。
紫外線にも強いベンガラは日光による退色も少なく、繊維を紫外線による劣化・変色から守ってくれる役割もあり、 人・環境にとってやさしく安全でエコロジーな染色です。
ベンガラ顔料は土壌に分解される成分で作られているので染色後の排水面も安心。
日本国内の職人によって1つ1つ手染めされているので、繊維がほぐれニュアンスのある色合いや独特の風合いが生み出されます。

【古色の美のこと】

TUTIE.のベンガラ染めは大阪府の羽曳野市で活動されている「古色の美」に長年にわたってご協力いただき生産されています。
ベンガラ染めシリーズは、土へ還る素材にこだわったTUTIE.と土から採取されるベンガラ染めのコラボレーションでスタートした企画です。
古色の美は1965年に社寺や日本家屋のベンガラ塗りとして創業しました。
もともと木造建築である日本にとって天然素材であるベンガラは防虫、防腐効果に優れ、また紫外線から木材を保護する役割を担いベンガラ塗りが盛んに行われました。しかし近代化が進むにつれ輸入材により木造建築も少なくなりベンガラを塗る文化は減少しました。
1991年に「古色の美」を発足。古代色であり日本の色であるベンガラ色の美しさを追求し、創業からのベンガラの調合技術を活かした研究開発の末、繊維へのベンガラ染めを可能にしました。
また長年の加工技術を活かし「赤」しかなかったベンガラを燃焼温度と調合により黄、黒、緑、紫といった色彩豊かな色合いをつくりだしました。古色の美のベンガラは全部で25色。
昔ながらの製法で作り上げる複雑で奥深い色合いに「いい色!」と喜んでいただけたら幸いです。